舞波と一緒

スコッチを飲みながら、半分泥酔した俺は淀みかけた記憶越しに
舞波を探す旅へと出ていた。。。

某年某月某日(晴れ)
クロスロード仕様の自転車に油を指し、念入りに故障はないかとチューンする。
早朝の新緑の空気がなんともすがすがしい!
今日はお友達に会えるんじゃないかと期待が高まる。

テントと寝袋を荷台に積んで、少しばかりの食料とミネラルウォーターを
リュックにいれて出発。

あややが無名の頃に深夜連続ドラマ美少女Hの撮影現場にもなった、七里ガ浜をよこて
に進み、稲村ガ崎も過ぎて、江ノ電と併走しながら、潮風も心地よくペダルを進めた。

ベリの菅谷梨沙子が住んでるらしい場所を横切り、久里浜からフェリーにて千葉県へ
上陸。

休日。舞波が家族で出かけそうな海沿いを走ってみることに。
「舞降りる波で舞波」サーフィン好きのお父さんが付けた名前。

養老渓谷にて、空のペットボトルに水を充填。美味しい水で生き返った。
日差しもあり、かなり体力も消耗気味。
外房まで行ったら休もうと決断。

綺麗な波とどこまでも続く水平線。砂浜には貝殻と、ワンポイントの
草も生えていた。
良さそうな場所へ自転車も置き、疲労で倒れこむように横たわった。。。

ボードウォークに腰掛、心地よい潮風が汗をひかせてくれた。。

どのくらいの間だろうか?ぼーッと海を眺めていると、フワワッとボディシャンプー
香りが俺の鼻をくすぐった。。
ロングボードを持った父親と並んで歩く少女。。。

反射的に顔をそっちの方向へむけると横顔がかすめた。
見覚えのある顔だった。。。

サーフィンを楽しんでいる姿を座りながら観戦しつつ、良さそうな貝殻を拾いつつ。
親子水いらず遊んでいるのを眺めていた。。。
リュックの中にちょうど良い瓶があったので、そこに貝殻と波よって宝石の原石の
ようになった色とりどりのガラスを詰めて、親子二人の方へと歩いていった。

近くまでいくと、二人は俺の気付いて目線をくれた。
会釈をし、欧米のコンサートで見かける、スタンディングオベーションのように
拍手をし、「久しぶりに心から楽しんでる親子を見ました!ありがとう^^」
と言いながら、さきほどの瓶を舞波へと差し出した。
笑いながら、キョトンとする二人。俺「いや、サーフィンが旨かったからプレゼント
!あはは^^神奈川からチャリできちゃいましたw」

というと、少し驚いた顔で神奈川からきたのかと呟いていた。。。

芸能人だったあの頃と違い、一般人に戻ってた舞波
俺に元気を与えてくれた、あの頃の笑顔も良かったけども、
今日は何倍にも光か輝いてみえたのは気のせいだろうか。。。
きっと本来の自分のペースで自然に楽しんでいるせいだろう。。。

一緒にキャンプをしませんか?と提案すると、面白そうだからと了解してくれた。
材料を近くまで行って調達し、焚き火で調理。
シーフードカレーにした。思い出に海の水をひとさしだけ気持ちいれてみた。

忙しくって、小学校などでいくキャンプにもいけずに、今回が初体験ということらしい。
つぶらな瞳で興味深深に見ている。

あえて俺は当時の話は出さずに、今回初めて会ったように、一期一会の出会いと
して振舞うことにした。。。

カレーを食べ終わり、「なんか暑くなってきた」と上着を脱いだ舞波
ある程度、膨らんだ胸にドキッとしたのと同時に、そこにキラリと
光るものが!?ペンダントだった。
それは俺がファンの集いであげたペンダントと同じものだった。
それを見た瞬間に当時の思い出が鮮明に脳裏を駆け巡り、あまりに嬉しさに
目から熱いものが流れていた。。。

顔を横に背け泣いているのをさとられないようにしたんだけど、
気付かれてしまい、舞波「だいじょう。。ぶ?」と声をかけてくれ、
ハンカチを渡してくれた。。。
すごく気持ちの優しい子だ。ファンになったのは間違いではなかったらしい。
優しいがゆえに複雑な人間関係に耐えられなかったのだろう。。

九十九里のシーサイドは満天の星空で都会とは違い、星があざやかにきらめいている。
そして流れ星を数えていて、舞波と同じ年齢の14回目で願い事をした。
その時、目を閉じて願ったいたのをみられていて、舞波「なにかお願いしたの?」
と聞かれて、俺は正直に「舞波が幸せになりますように」と答えると
「ありがとう^^」と言って、肩に頭を乗せてこられた。

舞波のお父さんはサーフィンで疲れてスヤスヤと眠っていたので、間接的に
二人っきりになれたという贅沢な時をすごすことが出来た。

もっと歳が近ければ恋もできたのにと淡い期待を寄せつつも、14歳の友達に
再開できたことはまぎれもない幸福だった。。。
日付が変わり7月7日(星空)ひこぼしとおりひめからの贈り物だったのかもしれない。
フォレスト・イン昭和館<東京都>フォレスト・イン昭和館