女子高生になっていた
特急に乗って、隣に相席したのは女性であった。
女性というよりも少女で、なんで特急を使うのか?珍しいので、チラチラと
観察せずにはいられなかった。
ローズとピーチをほんのり匂わせる香水をつけているのか、そんな香りが
伝わってきた。
彼女はおもむろにワゴンサービスにきた店員に声をかけ、ガムとジュースを購入
していた。。。
そして、少女が髪をかきあげ、下ろしたヒジ鉄が俺の腕に鈍く突き刺さった。
痛いという意味の擬音を俺は突発的に発していた。
少女「あうッ、すみません!」と俺に謝った瞬間に見たことがある懐かしさが
こみ上げてきた。
忘れもしない、その瞳はあの頃の面影を残していてくれた。。。
6年前のあの日の夏、キャンプ場にて、マウンテンバイクで転びそうに
なったのを俺が抱えたあの子だった。マナちゃん。。。
半分ほど、そうだと確信した俺は、「マナ。。。」と呟いてみた。
すると、少女の肩はピクンと震え、びっくりしたような表情で
俺を見た。
そして某キャンプ場の名前を告げると、少女は顔に手を当てて、
「嘘!?やだー」と驚いた。。。
現在16歳、高校一年生であった。
その瞬間にあの6年前にタイムスリップしたかのように、一緒に
遊んだ思い出を語り合う。
マナは記念に俺にガムをくれた。
アルバイト先を告げて「またあの場所でキャンプがしたい」と微笑みながら
下車していった。。。
仙石原温泉 リゾートホテル リ・カーヴ箱根