愛娘の入学

そういや、兄貴の娘ってそろそろ高校じゃなかったっけ?
小学5年以来会ってないんだよなぁ。

小さい頃、マセた子供でなぁ5歳で俺を恋愛対象としてみていたんだよなたしか^^;
ま、こういうことは子供にはよくある話だろうけど。。。

朝に、俺をいつものように起こしにきたんだけど、いつもと違った。
キスをされてしまった。。。
恥ずかしながら、俺にとってそれはファーストキスだった;

恋愛することもあったし、バレンタインなども貰ったりしたことがあったんだけど、
なぜか全てプラトニックで終わりを告げていた。。

原因は俺にあった、恋愛に臆病であったのもあるせいか、たぶん俺に好意がある人は
何度かいて、すごい強引に近づこうとするから分かったんだけど、そうなってくると
逃げるようになる。その場合、相手が好意があるから、こっちが歩みよればOKに
なるってことは目に見えている。

こっちが追う場合、全て遠距離で文通で、なんと全部俺が出さなくなって終わっていた。。。
全部そのパターン^^;
すんごい申し訳ない気持ちをいまだに持ち続けていて、写真とかアルバムにも取って
あるし手紙も保存している。。。
だけど、再度出そうとしたが、どうしてもその勇気が出なかった。。。
「最近、手紙がなかなか来ないけどどうしたの?」って書かれたことも
あったけど、心では申し訳なく思っているんだけど、どうしても動けなく
なってしまうのである。。。

話がずれてきた^^;

なんとういか、一緒に過ごしていて感情も移る、うざい時だってある。
だけど、基本的に愛することができるんだよね!肉親だからかもしんない。
嫌な部分も許せるというか、すんごく落ち着ける感じなんだよね。

そして俺が帰るときに、見送りにも姿をみせなかったチーちゃん。
あとで聞いて分かった話ではあるが、会うと寂しくなって泣いて引き止めてしまうから
と聞かされた。。。

その後、事情があって荒んだ生活を送り、次にチーちゃんと再会したのが5年後の
彼女が10歳の時だった。。。
てっきり大きくなってるかと、思ったら、玄関先のピンク色のスポーツシューズは
思ったよりもずっと小さかった。

土産を持って上がると、出迎えには来てくれなかった。
兄貴とビールを飲んだりしながら飯なんかも食っているが一向に降りてこない。
「恥ずかしがってんだべ」と言われたがソワソワして仕方がなかった。

フラフラをトイレに行ったときに、少女は顔を洗っていた。
喉まで声が出かかったが、どうしても声をかけることが出来なかった。

「おーい!お兄さんがわざわざ東京から来てるんだから顔みせろー!」と兄貴が言った。
そして背中越しにやっと「お、おお大きくなったね!」とカタコトでありふれた
ことを発するのがやっとであった。。。

一瞬だけ顔を向けて、無言で二階にかけ上がっていった。。。
俺は肩を落として、呆然とするしかなく、兄貴の声もビールの味も分からなかった。。

俺の夏は終わった。もう帰ろうかな?と身支度をしていると、「よう、一緒に秋田いかねえか?」と言われた。別に行きたくねえよ。。。;と思いつつも「いいよ」と
言うと、なんと家族で行くらしい!

嫁さんが助手席に、最後まで来なかった娘もやっときた。後ろの席で俺の隣な訳
なんだけども、顔もみなければ会話も無し。

千秋公園を歩き、楽しそうに家族で腕組んでいる。羨ましいなぁと思いながら
写真を取っていた。

2〜3言しかまだチーちゃんとは話していない、鬼嫁にはずっと説教されっぱなしだし
早くも帰りたくなってきた。。。

そして飯を食う段になって、俺が大盛りのカツ丼を食うと初めてチーちゃんから
「スゲーっ!」と声がかかる。そして俺の手首を掴んで自分の手首と大きさを比べていた。

それから、鬼嫁は家で降りて昼寝するからと分かれて、チーちゃんと兄貴と一緒に海へと
行った。
途中、店に寄ったときに、兄貴だけ買い物にいって、車で二人きりになったんだけど、
声がどうしても出ない;すんごい緊張した。。。
ぜんぶ訳わかんない空回りな質問して沈黙が流れた。。。

やっと海へ行ってそこで、並んで座って話す。後ろにいたキャンパーに怪しまれる。
男二人に少女が一人だもんなぁ。。。「なんか怪しくない?」みたいに声が
聞こえてきた。

たしか3歳の時にキャンプに行って、海を一人で眺めていた俺の横にピョコンと
座って、なぜか後ろのカップルに笑われたことを思い出した。
「ずいぶん小さい彼女だな?」みたいに聞こえた。

俺は予定を変更し、滞在期間を延長した。一緒に観にいった花火大会や自転車の後ろに乗せて
海へ行ったことカラオケなどなど忘れられない思い出が沢山できた。

俺ね、自分が青春時代にそういう青春っぽいことした記憶が無いもんで、肉親なんだけど、
彼女でもできたような楽しさだった。本来ならタブーな恋愛相手なんだろうけども、
かなり自分の中では高まっていった。
でも、その気持ちは表ざたには決してだすことはしないことだけは心得ていた。。。

そして別れの日、チーちゃんがよく唄っていた曲で、「この曲好きだな^^」
と俺が言っていたCDを駅でくれた。。。
「また遊びに来てね」俺「また来るよ^^」
「絶対だからね!」俺「うん、分かってるよ」

握手をするとチーちゃんが泣いた。「さようなら」と言って。。。
ドアが閉まり電車は走りだす、ずっと手を振りながらプラットホームを
走りながらホームの先まできてずっとずっと手を振ってくれている。
俺は走馬灯のようにそれまでの思い出が流れてきて、涙が止まらなくなった。

あれから、丁度5年、多感な時期を過ごしたことだろう。。。
事情があり、法事にもいけなかった俺。

そして、2回ほど、留守電がチーちゃんから残っており。「会いたいよお兄ちゃん。。。」
と消え入りそうな声で入っていた。。。
そして、2度目は「あ、あのぅ、おっお兄ちゃん。。好きです。」と
入っていた。。。

法律からいうと、無理な恋である。俺もどう答えを出していいかすごく悩んだ。
本心からいうと、即答で俺も好きだったと言い返したいところなんだけど、
チーちゃんをそこまでしてしまった責任というか、間違いだったんじゃないか?って
考えてしまった。

結局、答えも出せずじまいで顔を見せにいけてもいない。。。
血が繋がっていなければ良かったのにとも思ったが、そう簡単ではない。
前世で夫婦だったり恋人だったりしたのが、肉親として生まれるみたいな話を
少し聞いたことがあったが、それを思い返していた。。。

だけど築いた思い出だけは消えることはない。